感想

「新学期」感想

切なくも温かい少年たちの物語。

長野まゆみ先生の『新学期』を読みました!

やっぱり長野先生の作品は世界観が素敵ですね。
今のところ、『鳩の栖』に収録されていた「栗樹ーカスタネアー」が特にお気に入りです♪

脱線しそうなので軌道修正します。

この新学期というお話は、兄が教師を務める学校に転入した主人公の史生が、兄のことを慕う同級生の男子二人と心を通わせていくお話になります。

読み終わった後は、もっと三人と兄を見ていたいという気持ちになりました。

※この先、内容のネタバレを含む感想になります。

※この先、内容のネタバレを含む感想になります。

一番最後の椋の「きまってるじゃないか。好きだからさ。」ってセリフがすごく響きました。

椋、史生に似てるところあるよって言った犬に対して、この発言をしているんですよ。

その前までの物語を読んでると、史生は兄の存在があるから椋が自分に構うと思っているんです。史生は椋に関心があるけど、椋が気に入ってるのはあくまで兄だと、史生は思っていたんです。
終盤で椋にすがりつかれた場面でも、史生の認識では椋が相手も確かめずに頼ってきたことになっています。

つまりですね、最後の場面ってきっと、史生にとってようやく椋が兄の弟だからではなく、史生だから認めているんだって、明確な形で自覚できるところだと思うんです。

史生はずっと密と椋の関係を羨ましがっていて、兄ともうまく接することができなくて、人間関係に悩んでる男の子です。
その史生が、史生だから認めてもらえたって自覚できるのはすごく大きなことじゃないですか?!

そんなわけで、最後のセリフがぐっときましたね。

全然語ってませんが、密くんも好きです。
「試験の範囲が倍になると思った方がいい」ってところめちゃくちゃ好きです(笑) 嫌味なく頭のいい男の子って感じ。
無事に元気になって、大人になって、密と椋と史生の三人仲良くお酒を飲んで語り合う日が訪れて欲しいな。

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