彼等
容赦なく進む時間の中で、今しかない眩しい日々を過ごす。
長野先生の凛一シリーズもついに3冊目。『彼等』を読了しました!
※この先内容に踏み込んだ感想となります。
私は、すれ違い後に、もうすれ違うまいと発せられた「好きだ」という告白ほど、人間の理性を吹き飛ばしてしまう展開は無いと思っています。
何が言いたいって、氷川くんの想いの伝え方が最高でした。
終盤が最高すぎて、いきなりクライマックスの感想書いてしまった。
この巻でついに凛一と氷川は関係を進めることができたのです。
この巻はなんといっても正午くんがつらいです。
蛾のトラウマを語るシーンで背筋がぞっとしました。
あんな手の込んだ悪質な嫌がらせ、人間不信になりますよ。信じた相手に、裏切られる苦しさ。
正午くんは良くも悪くもまっすぐな性格の子なので、善意を装って近づかれては、人間不信に陥るのも当然だと思います。
そして、凛一くんも正午くんと一緒に暮らすようになり、環境の変化に疲れを溜めてしまう。
そんな状況で、氷川との関係もうまくいかず、千尋兄さんには子供ができるから無闇に頼れずという状態。
凛一くんは親も兄弟もいないから、ついつい自分の中に抱え込んでしまうんですね。
氷川がそうとは知らずに凛一の活けた花を捨てるシーンは、すれ違いだと理解しててもゾッとしました。
だって、あんまりですよ。
胸が張り裂けます。
凛一はただでさえ色々なものを抱えて疲れていたのに、信じている人に裏切られたと思ったわけです。
まさに正午くんがされたのと同じように。
その場を去る凛一くんを氷川は追いかけました。
京都で暮らしているのに、東京まで追いかけて、凛一くんの元を訪ねる氷川、本当に偉い。
それで、まあ色々話して和解して、氷川のうけた苦しみも聞いて、その上で氷川の伝えた「好きだと云ってるんだよ、」のインパクトと言ったら、最高です。
私の感想力じゃこの魅力をうまく書けずもどかしい。
次は、遂に凛一シリーズのクライマックス。『若葉の頃』を読んで、物語を見届けてこようと思います。