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タグ「読書感想」を含む投稿10件]

74 読書

火星年代記のぱらぱら再読感想

「長の年月」。ウィリアムスンの「スペンダーは喜んでる」という考えにワイルダー隊長が同意せず話題を逸らすところがとても好きだと気づきました。
「月は今でも明るいが」での、隊長の「スペンダーと隊員たちはダメだ(わかりあえない)」って言葉が、その話の中でスペンダーを理解できなかったという描写がないハザウェイまで例外ではなかったのだと身に沁みます。
スペンダーは火星に人が要らないと思っていたわけではなくて、火星人の残した"文化"(宗教、技術、諸々含むニュアンスで使ってます)を守りたかったわけなので、一度破壊され尽くした火星から人が消えたところで喜びはしないと思うんだ……(あくまでも私の解釈です)。そして、ワイルダー隊長もそういうふうに考えたから同意せずに話題を逸らしたのだと理解できる会話の流れ、とても良い。
そこでスペンダーは喜べないと言ったところでハザウェイには伝わらないので……。

あと、全体的な流れの話ですが、最初は互いを理解できなかった火星人と地球人が「夜の邂逅」くらいからじわじわと近づき始めて「火星の人」へと繋がっていくの本当に、本当に……よかったです(結局言葉が捻り出せずにいるけどよかった)。
その後、火星も地球も破滅を迎えてしまうのも、エゴの行き着いた先としてとても理解できるし、切ない。火星に移住した地球人がこぞって戦争の始まった地球に戻る描写は読者視点だとやめておけばいいのにと思ってしまったけど「鞄店」で書かれていたように結局移住して数十年では地球が"故郷"って感情が消えなかったんだろうなと伝わり、それがまた不可解さへの説得力になっているように思います。

一回呟いて少しまとめ直すだけのつもりが割とちゃんと感想になったわね。良き本です。

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38 FE

篠崎版トラキア #読書感想

篠崎砂美先生が書かれた、手強さが人気のsrpg「ファイアーエムブレム トラキア776」のノベライズ本を読みました。

ゲームプレイ済だったのですが、やはりトラキア776で描かれるリーフくんの成長が本当に大好きです。
2冊目ではリーフくんとセリス様の関係性の描き方が本当に最高でした。

セリス様のことを崇拝に近い勢いで尊敬しつつも、先に放棄した経験からセリス様が悩んでいるときには苦悩から逃れる手助けになればと、そっと言葉をかけてあげるリーフくん……。最高すぎます。

あと、アウグストさんの言葉が好きでした。
「答えを求めて後悔する方が、答えを求めずに後悔をするよりましです」
リーフくんは未熟ながらに常に答えを求めて立ち向かい続けてきた人だから、きっと心のどこかでこの言葉はずっとリーフくんを支えてくれるんじゃないかなって思いました。

3冊目は、後日談でアグストリアの動乱でもあるのかなと気楽な気持ちで開いたら、まさかの前日譚!
読むのはまた後日にしようと思います。

なんか、本当に感謝しかありません。
買ってよかった。畳む

37 読書

壬生義士伝 #読書感想

歪んだ武士社会に、真っ向から立ち向かう侍がいた。

言わずと知れた名作、浅田次郎先生の『壬生義士伝』を読了しました!
※内容バレ配慮なしで感想を書き連ねます。

叫ばせてください。
大野次郎右衛門〜!!!

この作品は、吉村貫一郎という新撰組隊士の人生を伝聞という形で露わにしていく形態をとっているのですが、読み終わった後の感想は大野次郎右衛門と叫ぶことしかできませんでした。

大野次郎右衛門は、吉村貫一郎の親友であり御組頭です。
昔は吉村貫一郎と共に寺子屋で学びを深めていたのが、ひょんなことから2人の間には身分差が生まれてしまったのでした。

このね、次郎衛さんが本当に誤解されやすい方なんです。
すごく苦しい思いをして、心を鬼にして親友に腹切れって命じた次郎衛さんの苦労は、本当に一部の人にしか伝わっていない。多くの人からは、次郎衛さんは悪者扱い。今まで南部の人々の命を背負って懸命に財政を立て直してきたのに、苦悩は理解されません。つらすぎる。

貫一郎さんも、本当にカッコ良い生き様でした。
本物の南部武士でござんした。
私は、池田さんが語りの時に言っていた貫一郎さんへ向けた言葉が大好きです。

長い武士の世の中が続くうちに、侍の体にべたべたとまとわりついてきた嘘や飾りを、きれいに取っ払っちまえば、侍はああなるんです。
貫一郎さんの慕われる人柄とか、飾らない感じとかを一番よく映した言葉だと思います。

それから、好きな場面のお話も。
蝦夷に向かう嘉一郎(貫一郎の息子)と、それを見送る千秋(次郎衛の息子)が手盃を交わそうとするシーン。
死にに行く嘉一郎の手盃を飲もうとしてできなかった千秋に、嘉一郎が何遍も何遍も名前を……御組頭様ではなく、ちあき、と昔の呼び方で呼びかける場面が本当に美しかった。
身分差の友情の美しさが、子供の間にも成立しているやりきれなさ。

あと、やりきれない気持ちが他にも。
父は誰も斬っていない刀を息子に残そうと、欠けて折れての刀で腹を斬った。それなのに、息子は父が大好きだから一人で三途の川を渡らせたくないと、後を追いかけて、父の贈った刀を持って戦場に行ってしまうんです。
親の心子知らずだとは思うけれど、嘉一郎の行動を誰が責めることできましょうか。
辛すぎる……。

書いていたらまた涙がこぼれてきてしまったので、この辺りで切り上げようと思います。

この作品に出会えてよかった。畳む

35 読書

若葉のころ #読書感想

先の約束は何一つできないまま。それでも、今この瞬間かけがえのない幸せがある。

長野先生の凛一シリーズもついに最後。『若葉のころ』を読了しました!

※この先内容に踏み込んだ感想となります。

あ、有沢さん〜!!!
まず、全巻の最後、氷川が凛一に好きだと伝えた時、私はてっきり氷川が女との縁を絶ったと思っていました。
それがどうでしょう、氷川には相変わらず女友達がいるではないですか。
凛一も凛一です。好きなやつがいながら、他の男に思わせぶりな態度をし続ける。

同棲している凛一と正午。
正午は心に負った傷をゆっくりと回復しつつあるが、昔のような裏表のない笑顔を見せない。

その家に、有沢が訪ねてきた。
3年も音信不通だったのに、まるで昨日別れた友人かのように飄々と登場する有沢さんね。

有沢さんの登場で、正午くんは元の笑顔を取り戻します。
なんかこの場面読んだ時に、ポケ◯ンGOの配信で、精神科医が一生懸命働きかけても一向に外へ出ようとしなかった引きこもりが外に出たっていう話を思い出しました。
凛一くんが世話を焼いても元の笑顔を取り戻さなかった正午が、有沢への恋心を通じて劇的な回復をしたのです。

一方でその頃、氷川と凛一はうまくいきません。
凛一が氷川の情報を他校に流してるという噂がたっていたせいです。
しばらく会うのは控えようと伝えに行ったタイミングで、凛一は氷川が女友達の藤沢とキスしている場面に出くわしてしまった。なんてこった。
凛一は、しばらく控えようと言うつもりが、もう会うのはよそう的な物言いをしてしまうのです。うう、またすれ違ってるよこの子たち。

千迅さんの故郷の話も良かった。
千迅さんのアグレッシブの裏にある優しさをこれでもかと感じましたね。
凛一くんが千迅さんの冗談は千尋さんより分かりにくいって何回か言ってた気がするのですが、もしかしたら千迅さんは本気で言ったことを冗談だと誤魔化すことが度々あるのからなのかもしれないなと思いました。
本音を見せず、軽い男を演じてる優しい千迅さんよい。

有沢と正午がホテルに入ったのを、凛一だと勘違いした人の噂により、氷川とのすれ違いはますます広がります。
凛一は、自分から氷川との関係を絶ったのに、氷川を諦めることができません。かといって、態度は優柔不断で他の男を平気で受け入れる。
有沢、キレました。凛一くんは殴られ方もしりません。
大事に育てられたんだろうな。

この後が、最高に良き。
有沢さん、氷川のしている誤解をとくために氷川のところに行くんですよ。
有沢さん幸せになって〜!!!

なんか萌えポイントが多すぎて、あらすじ紹介みたいになってしまいました。

最後、先の約束なんてできないって女友達のこと振って凛一くんと出かける氷川さん最高に良きでした。

あと、流れに組み込み忘れたけど、地元の病院の息子とぴゅあぴゅあな両片思いしてる千迅さん最高。
あと、千尋さんの手を握って晟先生のこと慰めたっていう千迅さんのエピソードもよすぎた。

ちょっと、既に再読したい衝動に駆られています。
とりあえず、言葉がまとまらないのでこんな感じで。
気が向いたら感想書き直そう。畳む

34 読書

彼等 #読書感想

容赦なく進む時間の中で、今しかない眩しい日々を過ごす。

長野先生の凛一シリーズもついに3冊目。『彼等』を読了しました!

※この先内容に踏み込んだ感想となります。

私は、すれ違い後に、もうすれ違うまいと発せられた「好きだ」という告白ほど、人間の理性を吹き飛ばしてしまう展開は無いと思っています。
何が言いたいって、氷川くんの想いの伝え方が最高でした。

終盤が最高すぎて、いきなりクライマックスの感想書いてしまった。
この巻でついに凛一と氷川は関係を進めることができたのです。

この巻はなんといっても正午くんがつらいです。
蛾のトラウマを語るシーンで背筋がぞっとしました。
あんな手の込んだ悪質な嫌がらせ、人間不信になりますよ。信じた相手に、裏切られる苦しさ。
正午くんは良くも悪くもまっすぐな性格の子なので、善意を装って近づかれては、人間不信に陥るのも当然だと思います。

そして、凛一くんも正午くんと一緒に暮らすようになり、環境の変化に疲れを溜めてしまう。
そんな状況で、氷川との関係もうまくいかず、千尋兄さんには子供ができるから無闇に頼れずという状態。
凛一くんは親も兄弟もいないから、ついつい自分の中に抱え込んでしまうんですね。

氷川がそうとは知らずに凛一の活けた花を捨てるシーンは、すれ違いだと理解しててもゾッとしました。
だって、あんまりですよ。
胸が張り裂けます。
凛一はただでさえ色々なものを抱えて疲れていたのに、信じている人に裏切られたと思ったわけです。
まさに正午くんがされたのと同じように。
その場を去る凛一くんを氷川は追いかけました。
京都で暮らしているのに、東京まで追いかけて、凛一くんの元を訪ねる氷川、本当に偉い。

それで、まあ色々話して和解して、氷川のうけた苦しみも聞いて、その上で氷川の伝えた「好きだと云ってるんだよ、」のインパクトと言ったら、最高です。

私の感想力じゃこの魅力をうまく書けずもどかしい。

次は、遂に凛一シリーズのクライマックス。『若葉の頃』を読んで、物語を見届けてこようと思います。畳む

33 読書

碧空 #読書感想

孤独は人の心を惑わす。触れ合いは孤独への特効薬だ。

長野まゆみ先生の「凛一シリーズ」2冊目、『碧空』を読みました!
早く続きが読みたい〜となりながら読書記録書きます。

※この先、内容に踏み込んだ感想となります。

凛一くんは甘えるのが下手な分たちが悪いですね。
寂しがり屋のくせに素直に甘えられないから、遠くに氷川という男がいながら有沢と簡単に口付けてしまう。

凛一くんにとって、キスって好きな人との神聖な行為とかそういう認識が全くないんだろうな。
多分、寂しさをいっとき紛らわせてくれる何かくらいに思ってそう。

そして、今までそんな素直に甘えることのできない凛一くんを気にかけてきた千尋さんの結婚。簡単に甘えることができなくなった凛一くんは、氷川に甘えようとして関係を悪くしてしまう。
いつまで経っても氷川にだけ遠慮を続けているのに、よりにもよってキスしたことのある男の話をしてしまうなんて……。
罪深すぎるよ、凛一くん。

凛一くんにとって、肉体のふれあいは孤独を埋める行為で、氷川を好きだという感情と、他の人とのキスをするって行為が矛盾しないんだろうね。
そんな理屈、他の人に通用しないのに。

なんか、同じことを永遠と繰り返してる気がしてきたので、早く続きの話を読んでこようと思います。畳む

32 読書

白昼堂々 #読書感想

凛一は、迂闊な恋をした。

長野まゆみ先生の『白昼堂々』を読了しました。
読書記録も今年の1月から始めて、明日で3月に突入!
三日坊主してない私を褒め称えます。

白昼堂々、本当に綺麗な本でした。

病弱な凛一は、従姉の省子に押し付けられた取引きで氷川と出会ってしまう。氷川は凛一とは違う人間だとわかっているのに、惹かれる心は止められない。

といった感じのお話です。
続編が出ているらしいので、早く購入して読みたい。

※ここから先、内容に踏み込んだ感想になります。

虚弱な印象に反して芯の強い凛一くんよ……。
省子に唇を重ねられた後も、正午に
「キスくらい、してくれてもいいはずだ。従兄さんが氷川にしてることに比べたら、ぼくのこんなのはたいして無理な注文ぢゃない。……そうだろう、」
と求められた時にも、あっさり口づけをしてしまう凛一が好き。
そういう凛一の態度があるから、氷川に対してはかなり抑えているというのが際立つんだよな。
他の相手だと凛一からの動きが読み取れるのに、氷川とキスする時の凛一はもっぱら受け身なんですよ。うう、良い……。

あと、凛一くんは大人びているけれど、千尋さんの言葉を鬱陶しく思っていたり、正午ののことになるとムキになる感じが年相応でよいね。

とにかく、早く続編を読みたい。

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31 読書

昔の記事を移管しよう
『新学期』#読書感想

切なくも温かい少年たちの物語。

長野まゆみ先生の『新学期』を読みました!

やっぱり長野先生の作品は世界観が素敵ですね。
今のところ、『鳩の栖』に収録されていた「栗樹ーカスタネアー」が特にお気に入りです♪

脱線しそうなので軌道修正します。

この新学期というお話は、兄が教師を務める学校に転入した主人公の史生が、兄のことを慕う同級生の男子二人と心を通わせていくお話になります。

読み終わった後は、もっと三人と兄を見ていたいという気持ちになりました。

※この先、内容のネタバレを含む感想になります。

一番最後の椋の「きまってるじゃないか。好きだからさ。」ってセリフがすごく響きました。

椋、史生に似てるところあるよって言った犬に対して、この発言をしているんですよ。

その前までの物語を読んでると、史生は兄の存在があるから椋が自分に構うと思っているんです。史生は椋に関心があるけど、椋が気に入ってるのはあくまで兄だと、史生は思っていたんです。
終盤で椋にすがりつかれた場面でも、史生の認識では椋が相手も確かめずに頼ってきたことになっています。

つまりですね、最後の場面ってきっと、史生にとってようやく椋が兄の弟だからではなく、史生だから認めているんだって、明確な形で自覚できるところだと思うんです。

史生はずっと密と椋の関係を羨ましがっていて、兄ともうまく接することができなくて、人間関係に悩んでる男の子です。
その史生が、史生だから認めてもらえたって自覚できるのはすごく大きなことじゃないですか?!

そんなわけで、最後のセリフがぐっときましたね。

全然語ってませんが、密くんも好きです。
「試験の範囲が倍になると思った方がいい」ってところめちゃくちゃ好きです(笑) 嫌味なく頭のいい男の子って感じ。
無事に元気になって、大人になって、密と椋と史生の三人仲良くお酒を飲んで語り合う日が訪れて欲しいな。

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28 読書

ヘルドッグス #読書感想
移管しようパート4

男は止まらない。矛盾した正義を貫くために。

深町先生の『ヘルドッグス』をようやく読了しました!
久々に治安悪い感じの小説読みましたが、やはり、スパイとか潜入捜査官の話はいいですね。

主人公の兼高は暴力団組織に潜入する潜入捜査官。
いつ正体がバレて死ぬかもわからない環境、悪を裁くために殺しをする矛盾、自身を取り巻く環境に苦悩しながらも、ただ信じる正義のために任務を押し進めていた。

※ここから内容のネタバレを含みます

まず、兼高とシリアルキラー室岡のコンビがいいですね。殺しをしても何一つ動じない室岡という男のサイコパスを存分に感じさせてくる。
そして、どんなにイカれたクズ野郎でも、共に過ごした日々は愛着を育んでしまう。

終盤、兼高が警察と通じていると知った室岡の、兄貴を慕う気持ちと、そんな兄貴が自分が嫌う警官と知った時の反応がたまりません……。

「えげつねえケンカしやがって……ホントは嘘なんだろ。警官なんて」
「警官だよ」
「……名前を教えろ」
「出月梧郎。おれの名だ」
「警官らしい……クソみてえな名前だ……兼高昭吾のほうが、ずっと様になっている」
文庫本517ページのこの会話が、この二人の信頼を本当によく表している会話だと思います。
室岡を殺した後、兼高は上を向いて涙を堪えます。
だって、相棒だったんです、二人は。
どんなに兼高……出月が嫌う悪党だとしても、共に日々を過ごして兼高として育んできた絆は消えない。
共に死地を乗り越えてきた、かけがえのない存在だったんですよ。

ここの何がいいって、シリアルキラーで女子供ですら的確に痛ぶりそうな室岡が、兄貴のことに対してだけは大好きな肉も喉を通らなくなるほど精神的に参るんです。
それが、終盤の十朱との場面にもつながっていく。

読者としては、もう物語が始まった時に兼高が警官だと知っているので、こんな場面があることくらい想像はついてるんですよ。
想像はついていたのに、気持ち揺さぶられる。
それが本当にすごいと思います。
感涙。

兼高と室岡の話しかしてませんが、他にも名場面たくさんありました……。
土岐を手にかける場面とかね。

個人的には序盤のエンジンかかるまでがちょっと退屈でしたが、それでも、面白かったです。

やっぱり、男の熱い友情と決別みたいな話っていいですね。畳む

25 読書

憂鬱な朝 #読書感想

移管しようパート2

ついに、読んでしまいました!!
日高ショーコ先生の『憂鬱な朝』

前から気になってお気に入り登録していた作品が、昨年末にDMMブックストアで30%OFFな上に50%ポイント還元とかいう破格の安さになっていたのだもの。
そりゃ、即決購入しますよね……。

この作品、ほんっっとうに良かったです!!

ざっくり内容を説明します。

舞台は、明治時代の東京近辺。
主人公の久世は、若いうちに親を亡くし、10才にして、訳あって長らく住んでいた別邸から本邸へ移り、子爵となります。
こうして足を踏み入れた本邸には、眉目秀麗で優秀な家来 (使用人のトップみたいな存在) の桂木がいました。
桂木は (別邸でまともな教育を受けていなかったため) 何も知らない久世の教育係として、久世の面倒を見ます。
そんな桂木に久世が抱いた感情は、恋心だった。
桂木に認められようと頑張る久世と、どこか冷めた目で久世を見る桂木の関係は、ある夜を境に変化していく。

といった感じのボーイズラブ作品です。

歳の差、年下攻め、執事受け、美形男子のスーツ姿、不器用な男、すれ違い、などに弱い方は刺さると思います……私はめちゃくちゃ刺さりました。
あと5年早く出会ってたら、好んでBLだけを読み漁る、屈強な腐女子が生まれてましたね(笑)

※ここから内容のネタバレを含みます

あの、もう書きたいことが色々ありすぎるのですが、とりあえず忘れる前にこれだけはポイントから……。

最終巻かその1巻前あたりで、「朝になっても帰らないと約束しないと動かない」的なこと言って焦らす久世に、「朝まで寝かせなければいいでしょう」って素直になれずに余計に激しい要望してる桂木めっちゃ好きでした。
(※セリフはうろ覚えで)

もう、久世の親友の石崎さんも言っていましたが、話し合うという簡単なことができずに反発してる2人、大変萌えなんですよ。

特に、桂木のコントロールを離れて、桂木のことを考えながら勝手に久世が動き始めたあたりの、互いに互いを思って当主の座を譲ろうと画策しあっているあたり。
今までは久世が桂木に合わせていたからうまくいっていたものが途端に噛み合わなくなった感覚の演出最高ですね。
あれがあって、桂木という存在に深みが出て愛おしさが増しました。

あと、再び全部桂木に従っておこうとした久世が、家のことを考えて、実父の弟(であっていたか少し自信ないです)を当主に据えることはできないからと帰すシーンね。
信じていても、目的のためなら桂木が嘘をつくということをよく知ってしまっているから、やっぱり桂木の思い通りにはできない!って自分の意思で動くの。あのまま従っていたら楽だったのかもしれないけど、それをしない当主としての器と意志の強さを感じ大変良きでした。

紡績工場の話は、人から感謝された桂木が家のためでなく自分がやりたいから工場のために動くっていうのが最高でしたね。ずっと何かに縛られて生きてきた桂木が自分を見つけられたのは、あの瞬間だったのだと思うのです。

最後、一緒に海外について行くと言った桂木が、やっぱり行けなくなったと久世に伝えた時の描写も大変よかった。怒るのではなく、それを受け入れるところに久世の愛ですよね。愛だよ〜。

無限に感想ダラダラ書いてしまいそうなのでそろそろまとめます。

2人とも、末永く幸せであってください。

素敵な作品をありがとうございました!!畳む

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