ののはなメモ帳

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ポタージュ(ボネフォガ:あとでメインに移す)

 ボネの大切は失われてしまった。
 小さな頃から憧れていた生家の厨房。いつか使ってみたかった、店主だけが握れる包丁。何十年も使われ続けて角の欠けた砥石。
 大好きな親友との時間。
 別れはあまりに唐突だった。海賊の集団に町ごと襲われ、命からがら逃げ出した。斜向かいのアクセサリー屋の店主は、賊に斬られて片目を失明したという。ボネの家族は、全員怪我一つしなかった。
 
 移り住んだ先で、両親は再び店を開いた。全てがピカピカの調理道具に寂しそうな笑顔を浮かべながら。
 寂しそうな顔をしていたのは最初だけだった。やがて客足が増えると、ピカピカだった調理器具に少しずつ傷がついて、両親は笑顔ばかり見せるようになった。
 けれど、ボネだけは違った。新しい味には深みが足りない。
 まだピカピカだった器具に傷がつき、客先のテーブルに思い出の跡ができるまでは、寂しい顔でいたかった。
 
「ボネの料理が好きだよ」
 思い出したのは、純粋な顔で美味しそうに料理を食べる顔。ボネにとっては初めての「常連」である親友も、ここにはいない。
 ボネは親友フォガートになら、なんでも打ち明けられた。
 王宮料理に憧れていること。そのためにも、家を継ぐ前に宮廷料理人になりたいこと。
 それを両親には言えずにいること。
 フォガートは何度もボネの背中を押してくれた。
 夢があるなら目指しなよ、ソルムは自由を愛する国だ、だの。ボネの両親ならきっとわかってくれるよ、だの。少し言葉尻が伸びるおおらかな話し方で勇気づけてくれた。
 フォガートはあまり自分自身のことを語りたがらなかったが、それでも構わなかった。
 フォガートといるときの、寒い夜に外で飲むポタージュのような優しい味はボネだけの特別だ。
 それから、料理を口に含む瞬間、美味しそうに目を見開く姿も、頬いっぱいに食事を詰め込む癖も、読み込んだ後の余韻に浸る表情も、全て。
 
 フォガートに会いたい。
 ソルムの熱で溶けていくシャーベットのように、感情が全身に広がっていく。
 年月は流れたが、ボネの中でフォガートに会いたい気持ちが揺らぐことはなかった。
 一度味わった美味しさは忘れられない。何よりも、フォガートの言葉はボネが目指す道に常に寄り添っていた。
 両親はフォガートの言った通り、あっさりと宮廷料理人への夢を納得して応援してくれた。
 そして、フォガートに夢を打ち明けた日から五年。宮廷料理人の募集がかかる。
 
 
 苦い味だ。不調だったわけではない。完全な敗北だった。
 栄光をつかんだのは、ボネより十は歳上の料理人だ。
 かといって、諦めたわけでもない。また五年後。その次は十年後。料理を極めるためには長い辛抱が必要だと、ボネは知っている。
 仕方がなかったのだと言い訳したくなる気持ちを堪えた。徐々に馴染み始めた家の帰路につこうとした時。
「ボネ」
 少し語尾が伸びるおおらかな声で呼ばれた。声質自体は変わっていたが、間違えるはずがなかった。
「フォガート……」
 フォガートは、記憶の中よりもずっと立派な服を纏って着飾っていた。まるで、砂漠のオアシスで一息つく王子のような。
 斜め後ろには、太陽をたっぷりと浴びたオレンジに似た、艶のある髪の青年が控えている。
「ボネ、俺の専属料理人になってよ。俺も今日の大会で審査してたんだ。ボネの料理を食べてすぐにわかった。懐かしい味がしたから」
「フォガートの?」
「そう。ボネには言ったことなかったよね。俺、ソルム王国の第一王子なんだ」
 告げられたままの内容を受け入れている自分自身に、ボネは驚きを隠せなかった。
 もしかしたら、昔から予感めいたものがあったのかもしれない。人懐こいが身の上のわからない、年齢にしては妙に外食の多い少年は、港町で明らかに浮いていた。
 だからこそ、ボネとフォガートは親友になれたのだ。
「ボネ、どうかな」
 ねだるように問われて心が揺らいだ。
 けれど、話を受けるわけにはいかなかった。優勝を逃したボネが王族の抱える料理人になることは、料理に不誠実だ。
「フォガート。すまないが、それはできない」
「ボネのことだ。友人関係に甘んじることは、料理への冒涜だとか言うつもりなんでしょ」
 フォガートは時々見せる鋭い表情で見上げてきた。それから、やわらかく目を細めた。
「でもね、誰が何を言っても、俺にとっての優勝はボネだった。俺が世界一だと思う料理人を雇いたいと思うことって、そんなに変かな」
 これは、負けだと思った。
 フォガートがボネを抱えたいと言った理由が料理にあるのなら、料理人として、その気持ちを無視することはできない。
「……フォガートの言う通りだな。ありがとう、私の料理を愛してくれて」
「こちらこそ。またボネと共に過ごして、料理まで食べられるなんて嬉しいな」
 フォガートは真剣な顔を崩し、歯を見せて笑った。
 その笑顔のかつてと変わらない味は、ボネの心に染み渡った。
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ボネ浮気しないで

※これは、ボネとアルフレッド王子の支援会話Aの感想です(めっちゃ好き)
※私はボネフォガ支援Aに萌えてしまったので、完全にボネフォガ脳です
※ボネは天然なだけで浮気しません

いや、大体のFEで遭遇するんですけど、天然×天然の支援会話は危ないんですって。
止める人がいないから会話が意味深な方向に流れてく流れてく。どんぶらこ〜🍑

まだ読めてない支援たくさんありますが、ボネとアルフレッドはトップオブ気狂い支援の一つだと思います。間違いありません。
私の直感がそうだって言ってる。

あのさあ、ボネよ。
「変わったものもある。二人の味だ」
みたいな言葉を軽率に使うんじゃない。
そして、二人の仲をさらに深めるとか軽率に言うんじゃないよ。
天然アルフレッド王子だから良いものを、他の人にそれ言ったら誤解の嵐ですからね??!(まったくもう。この子はすぐに天然を発揮して周囲を困らせるんだから)

そんなこと言ってフォガートに聞かれたらどうするつもりだい?

ボネさんのこういう天然発言にフォガはヤキモキするし、フォガもまた軽率に好き好きいうからボネはヤキモキするんだろうな。
普段割とストレートに好意を伝える二人が本命にだけ照れっとしたりうまく伝えられなかったりするの最高!!!

だって、アルフレッド「王子」相手に軽率に二人の仲を深めるって言ってしまうような存在が、フォガート相手だと「恩人意識」により親友というのも少し躊躇ってしまうなんて、そんなの……🥲🥲🥲

なんでも好きカプに繋げて捉えてしまう。
愚かなり私。

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💍年齢妄想(作成中)

68歳リンデン
59歳ヴァンドレ
48歳ザフィーア

34歳モーヴ
31歳ゼルコバ

25歳ブシュロン、クロエ、ルイ

24歳ディアマンド、アイビー
22歳エーティエ、シトリニカ
21歳アルフレッド、カゲツ、ユナカ
20歳ミスティラ、ボネ

19歳パンドロ
18歳フォガート
17歳オルテンシア隊3人
16歳メリン、パネトネ、ラピス
15歳フラン・クラン
14歳ジャン、アンナ

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色々なボネフォガ

離れ離れの期間に料理を作って、フォガートの笑顔を見られないことに寂しくなるボネ。

何かを作るたびに、フォガートも好きだったなとか、この料理を食べた時にフォガートとこの話したなとか思い出してしまうボネ。

出歩いた先でさまざまなご飯を食べて、ボネの味が恋しくなるフォガ。

支援の思い出話でボネが作っていた料理も、実は昔の思い出が詰め込まれているのでは。
ボネさん何でも口に入れたがるから、それこそ経験から得た"過去"の味付けだって使いこなすと思うのですよ。

支援Aの話になってしまうけれど、
今日のデザートはほろ苦かったの、そのデザートのほろ苦さ、実は離れ離れになる前にボネが作ったデザートの味ではありませんか?

あの時の味だとフォガートが言わないのは、確かに離れ離れになる前のほろ苦さだったけど、食べたばかりの温度がある料理の方がずっと美味しかった&幸せだったからでは??
だから、珍しくほろ苦いデザートに対し、この後の話のためにって聞き方になるのかもしれない。

ボネもフォガートのそういう考えを理解して、ああって返すんだよ。ありがとう(終盤の幻覚強度が強すぎる)。

ボネが料理に対して雰囲気との食い合わせを大事にするの好きなんだ。
そういう意味ではパンドロとの支援もよかった。
宴という雰囲気と食い合わせの悪い料理を作ってしまったボネの、騒がしさが苦手なのに宴に行って雰囲気を知るという探究心の強さよ〜!

私にはこの感情の行き着く先を見失い、どう昇華したらいいのやらで困ってます。

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ただの嘆き

💍、モーヴを救えるなら自分が不幸になっても構わないというキャラがいなかった&モーヴさんが「許されない恋」をしている描写がなかったことによってモーヴさんcpに沼らずに済んだし、ブシュロンとアルフレッドの主従感が私のcpニュアンスの好みより薄めだったから首の皮一つ繋がってたのに(ここは良き友達でいて欲しい感情が勝った)、油断したところでボネフォガに落とされるとは思わなんだよ。

ボネとフォガートの、親友ながら確かにある主従の壁、恩人意識とその理由もだし、突然の別れにフォガがボネを探し続けていたことがとにかく刺さってしまったんだ……

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ボネフォガの過去妄想

もしかして、2人がボネの実家の食堂で知り合って親友になった時、ボネはフォガのこと王子だと知らないのでは……?

フォガート、身分を隠してお忍びであちこちと出歩いていたらしいので。

ボネ14歳の時に出会って、いつも来てくれる歳の近いお客さんって感じのフォガートと1年くらいの期間を経て親友になっているといいな。

多分フォガートがぐいぐい話しかけたのでしょう。

その後突然の別れ。
15-18歳の3,4年間くらいかな。期間の情報は(感覚的に)長いということしかなかったから何を言っても捏造ですが。
ボネの背丈の変化にフォガが驚く期間に離れ離れだと私が萌える(ボネの背は16の時にすくすく伸びた想定)。


---年齢妄想の検証

宮廷料理人を決める大会は、働いてもらう前提になるわけなので年齢制限がある印象。
それに出たということは、再会は働き始められる年齢以降のはず(💍世界は多分この辺を作り込んでないので、とりあえず15-18あたりを想定)。

フォガートの年齢検証。
本編軸のミスティラちゃんが20代前半な気がするので、弟のフォガは多分10代後半〜20歳(1,2歳差だといいなあ!)。
本編までに従者期間が1年はないと本編軸のボネとパンドロの距離感にはならない気がするので逆算すると、ボネとの再会がフォガート17歳前後の想定になる。

ボネフォガは年が近そう(±2歳くらい)なので、大きくずれてはいない気がします。

---年齢妄想ここまで


ボネが宮廷料理人を決める大会に出たのは自分の料理の腕を試すため(フォガートが王族とは知らない)。
親友期間のフォガートの言葉は励みになっていたと思います。

両親みたいな料理を作れるようになるのか悩んでいたボネに、
「ボネの料理は美味しい。世界一の料理人になれるよ」
と言ってくれたのはフォガートなので(息をするかのような捏造)。

結局優勝できなくて気落ちしていたところに、どこか覚えのある声で話しかけられたボネ。
顔を上げると、食堂で会っていた時よりも豪華な服に身を包んだフォガートがいたんですね。少し後ろにパンドロを控えさせてます、多分。

・フォガートが王子だと知った驚き
・思いがけない再会の喜び
・優勝できなかったボネを雇いたいという申し出
・フォガートのそばに知らない家臣が付き添っているショックめいた感情

ボネの心は情報の洪水でぐちゃぐちゃです。

そして、ボネは拾ってくれたフォガードに恩を感じ、ボネの腕を信じて雇ってくれたフォガードに美味しい料理を食べさせるために日々鍋をふるのだった。


余談

ボネ→パンドロへの印象はマイナススタートだと思う。
うぇーいはボネの肌に合わないでしょ。

でも、フォガートの臣下同士として話すうちにパンドロの誠実さに気づき、心を開いたんだろうね。

パンドロの方が先に臣下になって、ボネは1年遅れくらいかな。

ボネはパンドロからフォガートの臣下としての心得みたいなものを教わり、ボネはパンドロに細かなマナーを教えてあげていたらいいな。

マイペースなボネがパンドロのことも親友だと言うのだから、語られていないながらも、それに足るエピソードがあるはずなのよね。

ボネが真面目すぎて変態みたいになった支援により語られなかった親友エピソードが読みたいよ。
※2人の支援に不満があったわけではありません(爆笑しました)

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一時避難のディアアイ(そのうちメインのところにあげる)

 ソラネルの日差しは柔らかい。イルシオンのような寒さはどこにもない。
 ソラネルの夜は眩しい。真っ暗な帳の中で月明かりだけが頼りの祖国と異なり、夜遅くまで篝火が揺れている。神竜が寝泊まりする城のあかりは、夜遅くまで消えない。
 アイビーはそんな祖国と何もかもが異なる聖地の、静謐な裏庭で星を見ていた。
 最後に父を説得したかった。
 悔やんでも仕方のない感情が胸を覆う。
 オルテンシアのためにも、かつての優しい父を取り戻したかった。神様が見逃してくれた命で、もう一度やり直したかった。
 だが、アイビーの願いはもう叶わない。父は、心のみならず肉体すらも邪竜に奪われてしまった。
 駆けつけた時には全てが手遅れだったのだ。
 
 神竜と合流した直後、激昂する弟を嗜めるように発されたブロディア第一王子の言葉を思い出す。
「ハイアシンス王は、亡骸すら、残らなかったんだ……」
 神竜を危険に晒した亡骸への執着を責めたアイビーの本心を、ディアマンドは見事に見破っていた。
 亡骸なんて、たいした物ではない。
 そう思わなければ、どうして全てに間に合わなかった心を納得させられようか。
 アイビーは、悲しみの最中でも人を気遣う心を忘れない隣国の王子の強さを、しかと感じた。
 
 聖地に居ても、星空はイルシオンで眺める方が綺麗だ。どれほど覚悟を決めても祖国は恋しい。暖かな夜に吹く冷たい風。
 これ以上外にいても、恋しさは募るばかりだ。
 アイビーは寝室へ戻ろうと歩き始めた。数歩進んだところで、背後にある林の奥から不気味な物音がした
「そこに、誰かいるの?」
 問いかけても返事はない。人の気配も感じなかった。胸がざわつき始める。
「まさか、お化け……?」
 イルシオンの第一王女として冷静な振る舞いを心がけているアイビーだが、どうしても苦手なものはある。
 アイビーにとって、それはお化けの類だった。
 幼き頃から、夜に不安を得ても頼れる人はなかった。一人で我慢しようと毛布を被るほどに、それはすぐそばまで迫っているように思えてならなかった。
 お化けなんか怖くないと、そう言ってアイビーの手を取ってくれる存在がいれば、恐怖は克服できたのだろうか。
 このような考えすら無意味なことだと知っている。薄汚い大人たちをアイビーは嫌というほど見てきた。
 おそるおそる、林の奥を覗く。何も見えないが、不規則な音だけがカサカサと響いている。
「アイビー王女」
 後方から話しかけられて、肩が跳ね上がった。振り向いた先にはディアマンドがいた。
「驚かせてすまない。だが、今王女が怯えていたのは草木の影だ」
「え、ただの草木の影?」
 ディアマンドは馬鹿にした様子もなく、事実として告げてきた。それから厳格な顔の奥でわずかに微笑んだ。
「見間違えるとは、らしくないではないか」
 らしくないと言われるほど二人はまだ会話したことがない。王子なりに気を遣ってくれたのだろう。
 気恥ずかしさに返す言葉もない。
 風が吹くたび、草木の揺れる音がした。
 しばらくそのままでいると、ディアマンドが胸もとの内ポケットから大切そうに石を取り出した。親指の爪くらいの大きさの石は、月明かりを反射して透き通った水色の光を見せる。
「その様子では、しばらく恐ろしいだろう。よければこれを受け取ってくれ」
「これは……」
「ブロディア産の鉱石だ。勇敢という意味を持つ。お守りとして使われるものだ」
 説明を聞き終わってから、アイビーは一つの懸念に気付いた。
 国を継ぐ王女が、隣国——しかもイルシオンの民には恨みを抱いている者も多いブロディア——の施しを受けようとしている。
 施しを素直に受ければ、イルシオンの外交的な立場を下げることになるかもしれない。
 ディアマンドの行動にそのような意図がないことは理解しているが、危うさに気づいていながら受け取るわけにはいかなかった。
 アイビーは受け取った鉱石を押し返した。
「隣国から施しを受けるわけには……」
 ディアマンドもそれで考えを理解したのだろう。押し返された鉱石を、嫌な顔一つせずに受け取った。
 大きな掌の上にのせられた鉱石は、ディアマンドによく似合っている。透き通った色は彼の心の高潔さのようだった。
「アイビー王女。では、これは私個人の気持ちだ。不要であれば捨てても構わない。……それなら、受け取ってくれるか?」
「ええ、それなら」
 武人らしい骨ばった大きな手から鉱石を受け取った。先ほどと変わらないはずの鉱石が心なしか温かく感じる。
「ありがとう、ディアマンド王子」
 微笑みかけるとディアマンドも優しく目を細めた。
「では、失礼する」
 去る背中は広い。
 ブロディアでこのように綺麗な鉱石が採れることを、アイビーは初めて知った。
 受け取った鉱石を夜空にかざす。それは星のように輝きを放って見えた。


 ソラネルの夜は眩し過ぎる。アイビーは父を殺した魔導書を胸に抱えてうずくまっていた。
 一度は死んだと思っていた父だ。それがもう一度居なくなっただけだというのに、どうして悲しみが尽きないのだろうか。
 水の中に沈んでいるような息苦しさがある。油断すると全身を重く満たす水に呑まれて、自分を失ってしまいそうだった。
「さすがに、今は勇気をくれないのね」
 アイビーは胸元にいつも忍ばせている薄水色の鉱石を新月に翳した。
 前は星のように綺麗だった光がどこにもない。
 アイビーが父を殺した時、父は笑っていた。異形兵とは思えないほど、それは昔の優しい父の表情だった。
 オルテンシアごめんなさい。
 お父様、今までありがとう。
 父に魔法を放った時、覚悟は決めたはずだった。
 それなのに、どうしてこんなに苦しいの。
 風が吹いて梢が鳴る。お化けではないともう知っている不気味な音。
 流石に薄着すぎた。肌寒さが気になり始める。両腕に鳥肌が立っていた。
 戻らなければ、そう思うほどに体は重く動かない。連日の不眠の影響か次第に意識が沈み始める。背後から近づいてきた足音に振り向く余裕もなく意識を手放した。
 
 外はまだ暗い。アイビーの肩には赤いマントがかけられていた。
「ああ、目覚めたか」
 声はすぐ隣から聞こえた。
「ディアマンド王子……どうしてここに」
「二人だけの秘密にすると誓ってくれるか」
 ディアマンドの目はいつになく寂しい色をしていた。落ちゆく木々の葉に似た燻んだ赤。
 頷くと、ディアマンドは静かに話し始めた。
「眠れない夜は、いつもここに来るんだ。……異形兵になった父上をこの手で殺めた、その時から」
 アイビーにとって、それは衝撃的な言葉だった。神竜と合流を果たした時のディアマンドには、人を気にかける余裕があるように見えていた。少なくとも、肉親を自らの手で殺めた悲痛さは感じなかった。
「周囲には強がって見せていたが、父上の首を刎ねた時の感覚は消えず、今でも剣を握ると思い出す。眠れない夜には、ここで陽が昇るのを待つくらいしかやり過ごす方法がなかった。ソラネルでは、静かな夜を過ごせる場所は限られているからな」
 ディアマンドの言葉は、細かな状況こそ異なるが、アイビーの感情そのものだった。けれど、ディアマンドは決して、アイビーの心を語りはしなかった。
「父と戦う覚悟は決めたはずだった。だが、異形兵となった父の最後の瞬間。その瞬間だけは、確かに生前の意識があった。俺が斬ったのは、異形兵ではなく、父だった……」
 高潔さの奥にある弱さが、今は包み隠さず明かされている。
 アイビーは右手に握ったままとなっていた鉱石の質感を確かめるように拳を握った。
 あの日、何気なく差し出された石が必要なのは、ディアマンドも同じだったのだ。
 鉱石を取り出すときの、丁寧な手つきを思い出す。大切なものを扱うときの手だった。
「すまない。つまらない話をしたな」
 呟く顔には、先ほどまで晒してくれた弱さは残っていなかった。
 アイビーだけが隠された弱さを知り、理解できる。対立してきた二国を継ぐ者は、同じ傷を背負っている。
 同時に、それは心を支える糸となった。アイビーは差し出された糸に縋りたかった。
「そんなことないわ。私は、あなたに感謝しているの」
「個人として、か」
「ええ」
 でもいつか、イルシオンの王女としてあなたに感謝できる日が来てほしいと願っている。とは、声に出さなかった。

 イルシオンの民の理解を得ることはきっと難しい。けれど、この戦いが終わり女王となったその時には、何度も自分を助けてくれた王が治める国との和解を果たしたいと心から願っていた。
 そのためにできることを考える、ディアマンドが分け与えてくれた勇気を握りしめながら。

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ボネフォガ支援を読んでください

FE遊ぶと大体好きな主従を探し求めてしまうというか、主従CPに勝手に落ちていくというか、なのですが……。
💍はボネフォガ最高でした。

若干、自分でも驚いてます。
私の好きな主従って、主従の線引きがちゃんと存在していることが多いので。
ボネフォガに関して言えば親友って感じが強く、主従の隔たり的な要素はそこまで強くないんですよね(でもある)。

ボネフォガに限らず、今作って全体的に主従関係自体は多いけれど、友人的な雰囲気のものが多くて線引きがきちっとした主従はあまり多くない気がしています。

リュールとヴァンドレとかはキチっとしている気もするけど、個人的にはCP萌えというより親子的な関係、素敵ねえの感情ですね。
モーヴとヴェイルも然り。

あとは、関係の線引きという意味ではパンドロとリュールとか、ディアマンドとシトリニカあたりですかね🤔

まだ読めてない関係の中にこれはThe主従があるかもしれませんが、頑張って思い出してもこんな感じなので、やはり友人関係が多い気がします。

脱線しましたが、支援読んで萌えたのなら友人がどうとか主従がどうとかは大きな問題ではありませんね。

ボネフォガの話に戻ります。
この二人、支援Cでピンときてたんだけど、A読んで最高になってしまいましたね。


この先、個人的なボネフォガ萌えポイントまとめ

①ボネ→フォガへの恩人意識

ボネが、宮廷料理人になれなかったところを雇ってくれたフォガートに恩義を感じているところがいいですね。
「親友」でしょ、という態度の主君フォガートと、恩人意識が強くなっているボネの関係に萌え以外の何を見つければよかったのでしょうか。


②急な別れを経ても互いを忘れずにいたこと

出会った頃はボネの意識としてもちゃんと「親友」だと語られていることがわかるんですよね。
そして、突然の別れに対してフォガートは間に合わなかった無力を嘆いている。
再会のきっかけとなった宮廷料理人を決める大会の存在を知った時も、フォガートが「ボネなら出る」って別れた親友のこと思っているの最高です!

そして、(大会の規模はわからないけれど)、優勝できなかったボネのことをフォガートはちゃんと探し出して専属料理人として雇っているわけですよ。

ボネのことを探していたんだって言葉に対する行動の説得力が最高。ありがとうございます。


この辺りから幻覚が強まるかもしれない。


③胃袋を掴んでいること

フォガートの食べるものはボネの作ったもの。フォガートのご飯はボネなしに成立しません。
専属料理人って良いですよね。
特にフォガートは身分の高い方なので、(ソルム王族はそんなことなさそうだけど本来なら)料理の毒とか心配する立場だと思うわけですね。

でも、ボネの料理なら完成したままの熱々を安心して食べられるのだ。
専属料理人最高です。


④ボネは多分フォガにとって2人目の家臣であること

パンドロとボネの支援をCまでしか見れていないので矛盾してたらすみません。
なんとなく支援会話から感じた時系列的に

ボネとの出会い
→パンドロとの出会い/ボネとの別れ(順不同)
→パンドロが臣下になる
(パンドローフォガートの支援Aのフォガートの誘い方的に、この時点ではまだ臣下がいないのかなーと思ってます)
→ボネと再会

という印象を受けています。
ボネさんはあまり交流関係が広い方ではないので、自分の方が先に出会っていたのにフォガートのそばに知らない家臣がいた状況、割とショックもあったのでは?と考えてみたりみなかったりして萌えています。


⑤「親友」という関係が進展の妨げになりそうなところ

この二人、恋愛感情を抱いてしまっても「親友」という言葉に縛られて前に進めなさそうなところが可愛いんだ。

支援を一部しか読んでないのでキャラ解釈ブレているかもですが、フォガートは一見軽そうに見えるけど、結構気遣い屋な印象がありまして……。
「親友」という関係を失う恐ろしさ的にも、ボネを雇っている立場的にも「好きになった」なんて言えないと思うんですよ(ここで出てくる主従の溝!)。

ボネも(味覚への探究心はぶっ飛んでいますが)、基本は内向的で穏やかな状況を好む印象があるので、「親友」という居心地の良い言葉があるのに自分の感情を打ち明けるようなことしたがらない気がするんですよね。

フォガートが無茶していたら遠慮なく休ませるけど、関係性が変化するかもしれない行動には恐れを見せる気がしています。

要約すると、仲良しだからこそモダモダしそうなところが可愛いという話です。


メモ程度に書くつもりが、2000字くらいになってしまった。怖いね。

まだボネとフォガートの他の支援をあまり読めていないので、キャラ認識がブレてそうで怖いよ。

他の支援読んでどういう人かを理解していきたいですね!

いやあ、まさかここの主従に萌えるとは思っていませんでしたね。
素敵な関係をありがとうございます!

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パネトネとパンドロの支援C

待って、ここ兄妹だったのですか?!!?(確かにオレンジヘア!)(私はnotCP的なニュアンスで訳あり血縁関係に弱い)

パンドロさん、現在読めている支援(モーヴ、パネトネ、セアダス、リュール)の影響もあると思いますが、第一印象よりウェーイじゃない。
なんとなく、行動理由の第一位が周囲の笑顔みたいな人なんだろうな、という印象になってきました。
だから、みんなが笑顔で過ごせる宴が好きなのね。

フォロワさんのつぶやきを見ては、なんとなく過去にも抱えているものがあるのだろうと思っていたけど、あー、なるほど(肯定的な意味)と思いました。


パネトネちゃんの支援も他はブシュロンさんとのしか読めていないのだけれど、すごく頑張り屋のいい子だという印象を抱いたので、早く他の支援を読んで理解したいよ……。

メリンさんが加入時に気になったままさっぱり使えてないので、ミスティラちゃんの隊の支援たち読みたい欲求がどんどん高まっていきます。

それからフォガート隊の支援も。
ボネとフォガートの支援Cを読んで、主従関係にビビッと来たんだ。
フォガート→ボネは親友って矢印が向いてるのに、ボネ→フォガート視点だと恩人の側面が強いんですか。
主従のすれ違いかな(ニコッ)って感情です。

Cまでしか読んでないので真実を語っている保証はどこにもありません。

今作は珍しくまだ読めてない主従支援が大量に発生しているので楽しみがたくさん残ってます。
セリーヌとクロエとか、ディアマンドとアンバーとか、特に気になっている。
スタルークの臣下だけど、ディアマンドとシトリニカも……。
まだまだ知りたい関係が沢山ありますね✨

そういえば、カゲツとアイビーどっちも良く出撃してるのにいまだに支援Bなのはなぜだろう。早く仲良くなって欲しいね。

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ブシュロンとゴルドマリー支援A

ブシュロンさん優しすぎるよ。

ゴルドマリーが傷つかないうちは、お弁当の感想求められて「めんどくさい人だぁ……!」って反応してるのに、傷ついたゴルドマリーを目の前にした時にはそれも魅力だって言ってあげるんですよ。優しすぎる。

いや、そもそもお弁当の感想みっちり言ってあげてる時点で優しさなんだ。

でもごめんねゴルドマリー。
あなたはブシュロンの優しさに触れてちょっとときめいたと思いますけど、このブシュロンさんは俺のパートナーなんですわ。
潔く身を引いてくださいまし!(すみません……)

落ち込んでいたところで優しくされたゴルドマリーは、もう一生分の言葉を貰ったから感想は要らないって言ってお弁当作りに行ったのに、ブシュロンさんは感想言うよって、もう愛ですよ。

でもごめんね、ゴルドマリー。
このブシュロンは神竜俺の(以下略)

それと同時に私は不安になりました。
ブシュロン、いつか悪い人に騙されて借金漬けにされたり、攫われたり、なんか色々されたりしちゃうよ……自分の身を大切にしてね。

まあ、俺の目が黒いうちはそんなことさせませんが!

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